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ご臨終と遺骨の引き取りの知識

大切大切な方のその時を迎えた際には深い悲しみに包まれますが、ご臨終を看取ることは遺族の方々にとって大切なことです。また、火葬場で故人の遺体を荼毘に付した後、遺骨を引き取るのは誰でもいいという訳ではありません。ここでは故人の遺骨の所有権が誰にあるのかその遺骨の受け取りを拒否ができるのかといったことを法律上の定義なども踏まえてご紹介致します。
今回の記事では、ご臨終と遺骨の引き取りの知識を詳しくご紹介致します。


ご臨終を迎える場合の知識

死期

臨終に立ち会いきちんとしたお別れをすることは遺される方々の今後においてもとても大切なことです。ご自身の死期を悟った方の多くは会いたい方を思い出したり、実際に訴える方も多いといいます。こういったように実際に人と一緒にいたいと思うのが人間の本能であるとすれば、旅立つ最期のそのときにも独りでいるよりも大切な方に見守られたいと願うのではないでしょうか。最期の瞬間に大切な方が独りで寂しい想いをしないよう、みんなで見送ってあげられると良いでしょう。
また、臨終に際したとき、最後まで機能する感覚器官は聴覚だといわれています。脳梗塞などにより側頭葉近くの血管に支障が出ている場合には聴覚を失っているなど、条件によっても変化し絶対的な保証はなく、真意は故人様本人にしかわかりませんが、それを信じるのであれば励ましや感謝の言葉を発すれば届くということです。伝え残して後悔することのないよう、最後まで声をかけてあげることは残された方々のみならず、故人様にとっても死への恐怖や気がかりを軽減できることでしょう。

ご臨終後の知識

大切な方が亡くなられた後まずはじめにやるべき事は主治医が発行する「死亡診断書」を受け取ることです。治療中の病気以外の、事故や事件、自殺などで亡くなられた場合は警察を介して検案された上で発行される「死体検案書」を受け取ることになります。その後すぐに必要となる手続きは「死亡届」と「埋火葬許可申請書」の二つです。通常同時に手続きを行うものでどちらも死亡を知った日から七日以内が提出期限です。ただし、埋火葬許可申請書が受理されて交付される「火葬許可証」がなければご遺体を埋葬・火葬することができません。一般的には、ご逝去の一週間以内には葬儀を行いそのまま埋葬・火葬する流れになります。そのため、死亡届と埋火葬許可申請書の提出は七日以内と思わず、直ちに行わなければならない手続きだと覚えておきましょう。死亡届は死亡診断書(死体検案書)と一枚の用紙になっています。医師の記載がある用紙の左側に必要事項を記入し提出します。提出場所は故人様の死亡地・本籍地・住所地のいずれかの市区町村役場窓口です。死亡届を役所の窓口に持参するのは代理人でも問題ありませんので、多くは葬儀社の担当者に代行してもらうことになります。

死亡診断書の受け取りとほぼ同時に葬儀社の選定をする必要があります。実際にはご遺体の搬送後に具体的に葬儀内容を打ち合わせて行くことになりますが、問題となるのが搬送です。安置する場所やお葬式のことをしっかり考えて葬儀社を選ぶことも大切です。

一般的な葬儀の流れ
お通夜:お通夜は葬儀の前に親しい人たちが集まり故人様と共に最後の夜を過ごし別れを惜しむための儀式です。故人のお身内が夜を徹して一緒に一夜を過ごすことで、棺を守り邪霊の侵入を防ぐ意味があると言われています。
葬儀・告別式:葬儀は亡くなった方のご冥福を祈り葬る宗教儀式、告別式は親しかった人たちと最後のお別れをする社会的な儀礼です。一般的には通夜を夕刻に行い、翌日の日中に葬儀・告別式を行います。
出棺:出棺とはご遺体を霊柩車に乗せ火葬場へ送るため葬儀場を出ることです。
火葬:火葬場に着いたら棺が火葬炉に入るのを見送ります。ここが最後のお別れの場となり控室で待機します。
骨上げ:火葬が終わるとご遺骨を骨壺に納める骨上げを行います。収骨室にてお骨になったご遺体を囲み、骨箸で足の方からご遺骨を拾い上げていきます。骨上げ後に骨壺と火葬証明の記載がされた火葬許可証(埋火葬許可証)を受け取ります。
還骨法要・初七日法要:還骨法要は還ってきたご遺骨を迎える儀式です。火葬場を出た後葬儀場または自宅に戻ってきて営みます。初七日法要は亡くなられてから七日目に行う法要です。近年ではは還骨法要と合わせ初七日法要を同時に行うことが多いです。

大切な方が臨終を迎えられた際にはまず後悔のないよう心を込めて見送ることが大切です。事務的な手続きや宗教的な儀式が続き慌ただしくなりますし慣れないことばかりで戸惑うかもしれません。冷静な内にご逝去後の流れを把握し必要なことを準備しておくと良いでしょう。


祭祀継承者の知識

火葬

遺骨を引き取る際には、遺族のうちどなたか一人が決定権を持ちます。遺骨が祭祀財産として認識されているため分配をすると祭祀の意味にそぐわないとされている為です。そして、祭祀財産の所有権は祭祀継承者にあるというのが通説です。民法上では、遺骨は祭祀財産として定義されてはいませんが、最高裁によって遺骨は祭祀財産であり祭祀継承者に帰属するという判決がでています。

祭祀継承者とは、祭祀財産の管理や故人の年忌法要の管理や主催を行う人のことを指します。祭祀財産は「家系図・位牌・神棚・仏像・仏壇・墳墓」といったものに当たりますので一族のこれまでの歴史を背負う人という意味合いがあります。もし祭祀継承者が亡くなった場合は再び遺族の内の誰かが継承者となり脈々と歴史が受け継がれていきます。
祭祀継承者にはこれまでの一族の歴史を背負うという意味合いがあるので、継承者になるにもある程度の優先順位があります。まず一番目は故人が指名した人が継承者となるというものです。これは民法上の第897条一項にも記載があり一番強い決定権を持ちます。この指名は遺言書だけでなく口頭での約束でも効力を発揮するとされています。しかし、亡くなってからでは証明ができないので何かしらの証拠を残しておく必要があります。二番目は、慣習上の祭祀主宰者が継承者となるというものです。こちらも民法上に定義されているものです。とはいえ、慣習上という言葉は広義に解釈できますので遺族同士で揉めてしまう可能性も考えられます。そのような場合には、家庭裁判所にて家系やさまざまな事実を踏まえた上で決定されます。

祭祀継承者は祭祀に関する「法要や墓地の建設」「納骨などの祭祀に関わること」の権利を受け継ぎますがこれらを行う義務は法的には定められていません。その為、祭祀継承者は上記のことを行わないという決定もできます。万が一そのことを咎められても罪になることはありません。しかし、他の遺族との意見がそぐわない場合はそのことで揉めてしまう可能性もあるでしょう。

遺骨の引き取りの知識

遺骨を引き取る場所は火葬場や市町村・警察などの場合が考えられます。火葬場で引き取る場合は、荼毘に付した後のことですので祭祀継承者に遺骨が引き渡されます。各市町村や警察から引き取る場合は不慮の事故や事件・孤独死などで家族が亡くなった場合となりますが、このような場合は家族や親族などの遺族に引き取りの決定権があります。

火葬場での遺骨引き取りに関しては各自治体によって違いがあり、一番早く確認する手立ては各自治体が定めている火葬場条例を確認する方法です。また、関東と関西といった地方や地域によっても遺骨の引き取り方法が変わります。関東の場合、遺骨は全収骨をして祭祀継承者に渡されます。そのため基本的には受け取り拒否ができません。

関西の場合には遺骨は部分収骨で残ったものは火葬場や自治体で供養をします。そのため引き取りを拒否したとしても最終的に遺骨は供養してもらえる可能性は高いかもしれません。
市町村・警察からの引き取り連絡を受ける場合は火葬場とは違い家族や親族などの遺族に決定権があります。この場合は遺族側が引き取りを拒否できます。引き取りを拒否する場合としては故人と音信不通であった場合など生前に故人との関係があまりよくないといった状況があげられるでしょう。引き取り拒否された遺体は火葬されて無縁墓などの墓所へ埋葬されます。故人が借金を抱えている、または相続税などの問題で相続放棄をすることもあるかと思います。遺産の相続と祭祀継承は別として扱われているため、相続放棄をしても祭祀継承者の権利を放棄することにはなりません。位牌・仏壇・墓地などの祭祀財産も相続の対象となりませんので、遺産相続を放棄したからといってこれらも放棄することにはなりません。祭祀財産を分割してしまった場合、先祖の祭祀についての意味合いにそぐわなくなるので民法では相続と分けて考えられています。また、遺骨は相続放棄した場合でも引き取ることが可能です。これも同様の理由で遺骨は遺産に当たらないためです。
遺骨の受け取りをされない方の理由は様々です。収骨拒否が可能な火葬場の場合には葬儀社にすべて任せることも可能ですが、死亡届の届出人の署名捺印が必要です。収骨を拒否できない市区町村の場合はご自身でお墓や納骨堂などを探して遺骨を埋葬(納骨)する必要があります。費用面で言えば永代供養の納骨堂・合祀墓などが低価格でしょう。各市町村には「火葬場条例」があります。「焼骨の引取り」に関する条例が市町村のホームページに公開されていますが、葬儀社に相談すれば詳しく教えてもらえるのと同時に、遺骨の行方の相談にも乗ってくれるでしょう。

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